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お茶でも飲みながら「けいおん!」
けいおん!系SSの中から、お茶でも飲みながらマッタリと読みたいほのぼのしたものを中心に、管理人の好みで載せていきます。
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唯「みんな、わたしのこと忘れちゃったの?」
唯梓3 
7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 16:51:37.72 ID:X00HQEu/0
唯「わ、わたしそういう冗談は無理なんだってば! あはは、ねえ澪ちゃん?」

澪「平沢さん、もう一度言うけど……軽音楽部は三人だけなんだ」

唯「嘘でしょ? ねえ、わたしなにか悪いことしたのかな? なら謝るから、ねえ澪ちゃん……」

律「唯! 澪怖がってるから、よしてくれないか」

唯「あっ……ご、ごめんなさい」

律「……えっとな。同じクラスだから唯のことはもちろん知ってる。だけど、お前は軽音部じゃないはずだ」

唯「りっちゃん……」

紬「平沢さん、私達いじわるで言ってるんじゃないの」

唯「嘘……そんな、だって、四月にも四人で頑張ろうねって言ったのに」

唯「みんな、わたしのこと忘れちゃったの?」


11
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 16:55:24.68 ID:X00HQEu/0
律「唯のこといじめようとしてるんじゃないよ。けど……」

唯「うん……うん、ごめんね、りっちゃん」

澪「……少し落ち着いてから話してくれればいいからね、平沢さん」

紬「じゃあ、よければお茶でもどうぞ♪」

唯「みんな……ありがとう」

唯(私のカップじゃない……お客さんのだ)

唯(なんで、なんでだろ)

梓「こんにちはー。すみません、今日掃除当番で。遅れちゃいました」

唯「えっ……だ、誰? わたしの知らない子も入ってるの?」

15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 17:03:02.43 ID:X00HQEu/0

梓「え?」

唯「あの……は、初めまして。三年生の平沢唯です」

梓「なにいってるんですか、唯先輩。あれ……皆さん揃ってなんでそんな風に見るんですか」

澪「えっと……一年生の子? だ、誰かの知り合い?」

紬「え……私とは初対面よね?」

律「な、なんだよそれ。私も初めてだぞ」

梓「なんですかこれ。り、律先輩。面白くないですよ」

律「……なんか二人目が来ると私が間違ってる気がするな……」

梓「えっ……は? 二人目? どういうことですか、唯先輩と澪先輩、律先輩にムギ先輩。……それに私で、五人で放課後ティータイムでしょう」

紬「……まあまあ、あなたも落ち着いてからにしましょう。そこ、どうぞ」

梓「ムギせんぱ……そうですね、今は私が変みたいです。お邪魔します」

17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 17:15:18.73 ID:X00HQEu/0
澪「……じゃあ、平沢さんの知ってる軽音部は私達と平沢さんで、中野さんの軽音部は私達と平沢さん、それと中野さんなのか」

律「わかりづれー」

澪「律は静かにしてなさい」

唯「梓……ちゃん? わたしも、放課後ティータイムっていう名前は覚えてるよ」

梓「えっ、本当ですか」

紬「今の三人の軽音部も、放課後ティータイムよ」

澪「それじゃやっぱり、私達が忘れちゃってるだけなのかな」

梓「……新歓とか文化祭とか、ライブはどうしたんですか?」

律「ジャズ研と合同でやった。ま、楽しかったよ。そのときも唯が『りっちゃんよかったよー』って言ってくれてたけど」

唯「……」

20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 17:22:19.10 ID:X00HQEu/0
梓「……ごめんなさい、今日は帰らせていただきますね」

紬「あっ、遠慮してるとかそんなのならいいのよ」

梓「いえ、大丈夫です。ありがとうございます、ムギ先輩」

澪「なんかごめんな。またみんなでよく考えてみるから」

梓「はい、こちらこそすみません。……唯先輩は、どうしますか?」

唯「え……」

梓「……あ、唯先輩と私は初対面でしたよね。ごめんなさい、馴れ馴れしかったです」

唯「う、ううん。あの……わたしも今日は帰るね。みんなありがとう。梓ちゃん、よかったらわたしも……」

律「また来ていいからなー」

唯「……うん。ほんとにありがとう、りっちゃん」

23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 17:29:28.88 ID:X00HQEu/0
帰り道

唯「……」

梓「……」

唯「……梓ちゃん、ごめんね」

梓「え?」

唯「梓ちゃんはわたしを覚えてくれてるのに、わたしは覚えてなくて。ごめんね。梓ちゃんが一番つらいよね」

梓「いえ……。……なんか、まだ少し疑ってるんです。皆さんの前では言えなかったんですけど、本当に私にいたずらしてるんじゃないかなって。信用できてないんですね、私」

唯「……」

梓「今も、何か吐き出したくて唯先輩と一緒に帰ろうとしたのかも。……ごめんなさい」

唯「梓ちゃん、今日謝ってばっかりだね」

梓「すみませ……あ、またですね。もう、なんか……あーあ」

唯「梓ちゃん?」

梓「……ごめんなさい、うちこっちなんで! 失礼します」

唯「あっ」

 梓ちゃんの家はそっちではない。気が、した。

25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 17:36:17.30 ID:X00HQEu/0

梓(忘れるわけないじゃん)

梓(私、そんなに嫌われてたのかな)

梓(唯先輩のことも忘れたふりしてたのはなんでだろ。……どっちにしろ、唯先輩もグルなんだ)

梓(私は……私は、みんな好きだったのに)

梓(寂しいし、悲しいし……)

梓(なんだか、悔しい)

梓「うっ……ひっく」

梓(正面切って言ってこないほど、私って厄介なんだ。嫌われてるんだ)

梓「……あ、テレビ。今日は木曜日なんだっけ」

梓(木曜のドラマは確か澪先輩とムギ先輩が見てて……)

梓(……はは、もうその話もしないんだろうな)

26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 18:01:27.11 ID:X00HQEu/0
澪「なあ。やっぱり、平沢さんも中野さんもうちにはいなかったよな」

律「私もだ……でもさ、本当に私達が忘れてるんだったら、二人ともかわいそうだよな」

澪「本当にって。平沢さんが遊んでるだけだと思うぞ。仲のいい律がいるから、ちょっと遊びに来たついでに」

紬「澪ちゃん、本当かどうかは私達が決めることじゃないわ」

澪「ムギまで。もしかして、二人も平沢さんと結託してるんじゃないのか? 私が信じるのを見物にしよう、なんて」

紬「澪ちゃん」

澪「律、お前が企んだんだろうけど。ムギに平沢さんに、それに一年生にまで付き合ってもらって、そこまでして私を陥れたかったのか」

律「おい、いい加減にしろよ! 少なくとも私はそんなことに加担してない。ムギも唯も中野さんも、違うに決まってる!」

澪「お前の素行が悪いから疑われるんだろ?」

律「は!? 人を疑うような奴にそんなこと言われる筋合い」

紬「りっちゃんお願い、やめて……」

律「ムギ……」

澪「……確かに、少し思い込みすぎではあったけど。でもさ、三人まとめて忘れるなんて……ありえないだろ」

紬「でも、唯ちゃん泣きそうだったわ。信じてあげても、何も悪いことはないでしょ」

澪「……」

27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 18:09:00.63 ID:eknWjkKU0
三年の平沢唯なのに梓は一年これいかに

28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 18:11:48.02 ID:X00HQEu/0
>>27
ごめんガチで間違えたorzありがとう

32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2011/02/24(木) 18:58:29.83 ID:ytVH7otIP
梓が小さいから一年生と勘違いしてることにしとけって!

36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 19:42:20.41 ID:X00HQEu/0
二年教室

唯「あの、中野さんってどこのクラスですかー?」

生徒「このクラスです。梓ちゃーん」

唯「ありがとー」

梓「なにー? あっ、唯先輩……」

唯「あのね、今日部活どうしようかなって。梓ちゃんは? 行く?」

梓「あ……私は、今日は遠慮しようかなって」

唯「そっかぁ、じゃあわたしも一緒に帰る! いいかな?」

梓「えっ」

唯「あ……い、いや?」

梓(私とは昨日あったばっかりのはずなのに。やっぱり唯先輩、人懐っこいんだ)

梓(昨日の夜、疑ったりしたの……悪かったな)

梓「いいですよ。一緒に帰りましょう」

唯「ほんと? ありがとう、あずにゃん!」

梓「え?」

38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 19:58:54.81 ID:X00HQEu/0
唯「ん? 梓ちゃん、わたしの顔なにかついてる?」

梓「あ……い、いえ」

梓(……やっぱり覚えてるのかな。みんなとグルで)

帰り道

唯「今日ね、りっちゃん普通に話しかけてくれたんだよ。ムギちゃんも! 澪ちゃんはちょっとよそよそしかったんだけど」

梓「そうなんですか。前から律先輩とは特に仲良しでしたからね」

唯「そうそう、梓ちゃんよく知ってるねー。だからね、今日は嬉しくなっちゃってちょっとだけテンション高いの!」

梓「唯先輩がテンション低い日なんてほとんどないでしょう」

唯「失礼な!」

梓「ふふふ」

39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 20:02:53.97 ID:X00HQEu/0
唯「にしても、不思議だよね~。梓ちゃんとは昨日会ったばっかりのはずなのに、梓ちゃんとっても話しやすいな」

梓「私からしたらもっと話しやすいですよ。私は唯先輩のこと、もう知ってますから」

唯「あ、そうなんだっけ。へへ、嬉しいな~」

梓(……もしかして唯先輩、みんなと組んでないのかな。ああもう、わかんない……)

唯「昨日といえばね。なんかね、今日は木曜日でしょ? でも昨日水曜日だった感じがしないんだよねー」

梓「ああ、私も……え?」

唯「え? なあに?」

梓「……昨日、木曜日でしたよ」

唯「あ、やっぱりー? 梓ちゃんもそんな感じするんだ」

梓「違います! 本当なんですって、私昨日のテレビの内容も覚えてます」

唯「え~? じゃあわたしに教えてよ」

梓「私のこと馬鹿にしてますね? いいですよ、澪先輩とムギ先輩が見てるドラマなんですけど……」

41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 20:13:57.16 ID:X00HQEu/0

梓「……で、その友人を殴ったところで今週は終わったんですよ」

唯「そっかそっかぁ」

梓「む……ネットで調べたとかじゃないですよ」

唯「え! ネットってそんなのが載ってるの!?」

梓「さあ……あ、あと。うろ覚えなんですけど、なんとか大臣が入院したとか、そんなことをニュースでいってました」

唯「うん、じゃあそれいってたら信じてあげる」

梓「ほんとですからね!」

平沢家

唯「もう少しで梓ちゃんが言ってたドラマだ、つけておこうっと」

キャスター「……臣が、入院していることが……」

唯「ん」

唯「これ……」

44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 20:44:23.12 ID:X00HQEu/0
梓の家

梓「昨日とご飯も一緒だったし、やってるテレビも全部内容がわかってる……なんだろ」

梓(まさか、昨日が繰り返してるとか……)

梓(それはないか。多分街中でテレビの内容を聞いただけ)

梓(ご飯は……うん、お母さんの手抜きだよ)

梓(明日は金曜日。絶対そうだ)

45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 21:02:49.20 ID:X00HQEu/0


唯「あ……梓ちゃん」

梓「唯先輩。おはようございます」

唯「ねえ、昨日話したこと覚えてる?」

梓「はい。……今日も木曜日みたいですね。テレビも携帯も時報も、みんなです」

唯「憂に昨日話したことも、今朝に聞いたら知らないって」

梓「私達だけなんでしょうか」

唯「なにが?」

梓「ループしたことに気づいてる人です」

唯「そうだね……けどね、わたしは梓ちゃんがいるから心強いよ!」

梓「何がですか……」

唯「でも……澪ちゃん達もわたし達のこと忘れてるし、変なことばっかり起きるね。明日はもう戻ってるかな」

梓(まだそれについて白を切るのか……)

梓(……もしかして唯先輩もなにも知らされてない、とか)

梓(それで唯先輩が私を忘れてるのは偶然……なんて、同じ部活の人間を忘れるのがそもそもないか)

46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 21:14:28.00 ID:X00HQEu/0
梓「……もう、これ夢かなにかみたいですよね。現実だっていう感覚はあるんですけど」

唯「わたしはみんなが忘れちゃったときからそんな風に思ってたよー」

梓「……」

梓(……唯先輩、もしかして本当に覚えてないんじゃ……)

唯「わたしはそろそろ行くね。じゃあね、梓ちゃん」

梓「あ、はい」

49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 21:19:06.47 ID:X00HQEu/0
放課後

唯「じゃあ、みんなわたしのこと忘れちゃったんだ」

澪「そうみたいだけど……なんだか平沢さん、ずいぶんあっさりしてるな」

唯「え? うん、まあちょっと寂しいけど」

梓(……今日も部活に来てみたけど、やっぱり覚えてないっていうみたい)

梓(さすがに昨日ほどのショックはないけど……少しだけ、うん)

梓「あの……じゃあ、今日はごめんなさい。唯先輩、私達は帰りましょう」

唯「えっ? あ、梓ちゃん待って」

バタン

律「どうしたんだろうな、唯」

50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 21:26:41.79 ID:X00HQEu/0
唯「……今日もみんな、覚えてなかったね」

梓「……」

唯「梓ちゃん?」

梓「唯先輩。正直に答えてくださいね」

唯「う、うん」

梓「唯先輩は……本当に、私を覚えていないんですか」

唯「え? うん……あのときの、最初に澪ちゃん達が忘れてたところからしか……って、言い方が難しいけど。それしか、知らないよ」

梓「本当ですね」

唯「うん……」

梓「……ごめんなさい。私、先輩達を疑ってたんです」

唯「え」

51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 21:27:06.35 ID:X00HQEu/0
梓「その、唯先輩と私が始めて会った日、ですか? ムギ先輩がお茶を入れてくれた日の帰り道、言いましたよね。いたずらで、忘れたふりしてるんじゃないかって」

唯「うん、覚えてるよ」

梓「少しだけ、唯先輩も疑ってたんです。……でも、ごめんなさい。これからは唯先輩のこと、信じますから」

唯「梓ちゃん……」

梓「だから……その、許してください」

唯「……もちろんだよ。いい子だね、あずにゃん」

梓(また、あずにゃんって)

梓(やっぱり、表面的には忘れてるけど。きっと、無意識に覚えてるんだ……)

梓(それならいつか思い出してもらえる、はず)

64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 23:41:45.13 ID:X00HQEu/0
平沢家

唯(昨日と同じご飯に番組……)

唯「つまんないのー」

唯「ん? なんだろ、これ」

唯「……あ、中学生のときにかったCDだ」

唯(埃かぶってる……なんでこんなとこにあるんだろ)

唯(うわー懐かしい……好きだったなぁ、このCD)

憂「お姉ちゃーん、お風呂できたよー」

唯「あ……はーい」

65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 23:46:30.54 ID:KvhorQZR0
憂は唯が軽音部だったこと覚えてるのかな
もし覚えてたら梓絡みの話題で食い違いそうだな

66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 23:48:01.46 ID:X00HQEu/0
>>65
覚えてない設定です
ただあずにゃんと憂は普通にクラスのお友達です。憂はあずにゃんと唯が知り合いだということを知りません

73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/24(木) 23:58:11.78 ID:X00HQEu/0
 二週間がすぎた。ただ、わたしと梓ちゃんを除いた世界は木曜日のままだった。正の字で日付をつけるのは、文明をなくしたように感じた。

 最初は部活にも行ってみた。でも何度行っても、みんな同じことを言うから、いつの間にか行かなくなった。

 わたしも梓ちゃんも、少しずつ疲れているのがわかった。毎日同じ時間割、毎日同じ会話。自分から何か変わったことをしない限りは、周りもいつも同じように動くらしい。

 帰りは、二人で帰る。その時間だけ、退屈から逃れた。いつも違う表情、いつも違う会話。

 それさえあれば、今の生活も無理ではない。わたしは、この状況に寄りかかっていた。

78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:05:34.01 ID:T3FXd5t50
 夜には、この間見つけたCDを聞いた。

 毎日聞いているはずなのに、手に取るときは、いつも埃にまみれていた。正の字はリセットされたりしないのに、どうしてこのCDだけ変わるんだろう。

 少し気になったけど、梓ちゃんに相談しようともしなかった。今の状況でも、別段苦はない。

80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:08:30.97 ID:T3FXd5t50
梓「唯先輩」

唯「なあに?」

梓「……もし、このまま。私が思い出してもらえなかったら、どうなるんでしょう」

唯「……梓ちゃん?」

梓「私は、誰の記憶にも……いなくて。ただ、ずっと同じ木曜日を繰り返していって」

唯「梓ちゃん」

梓「なんだか私、これじゃ、」

唯「梓ちゃん!」

83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:17:22.73 ID:T3FXd5t50
唯「梓ちゃん。明日は、学校さぼろう」

梓「え?」

唯「遊びにいくの。お買い物して、クレープ食べて、お買い物して、プリクラ撮って。ね」

梓「なんでですか」

唯「行きたいから。ね、行こう」

梓「……」

梓「……はい。ご一緒、します」

85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:22:42.48 ID:T3FXd5t50
後日

唯「憂ー! わたし今日日直だから、先に行くね!」

憂「あ、うん。気をつけてね、転ばないでね」

唯「はーい!」

二十分後

唯「……よし、憂が出た」

 わたしは、梓ちゃんと出かける準備をした。こういう準備は、わくわくしていたはずなのに。とてもうつろに感じる。

唯「……だめだめ、今日は梓ちゃんを元気づけてあげないとー」

唯「そろそろ出ようっと! 今日は楽しむぞー!」

87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:31:11.69 ID:T3FXd5t50

唯「梓ちゃーん! おはよー!」

梓「おはようございます。声おっきいですよ、恥ずかしいなぁ」

唯「梓ちゃんと遊ぶの楽しみだったんだもーん! テンションあがっちゃって」

梓「ふふ、そうですか」

 わたしは、梓ちゃんが笑うのを久しぶりに見た。

唯「ね、最初はどこがいい? 朝はもう食べた?」

梓「あ、朝ごはんは食べました」

唯「そうかー! じゃあクレープ食べようクレープ!」

梓「今のなんで聞いたんですか!?」

唯「気にしない気にしないっ」

88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:37:25.31 ID:T3FXd5t50
唯「梓ちゃんのおいしそうだねえ。一口おくれ!」

梓「え? もう……ほら、どうぞ」

唯「いただきまーす! あーん……甘っ」

梓「ええ? 普通ですよ」

唯「梓ちゃん甘党? あ、お礼にわたしのクレープもあげる! ほら、あーんっ」

梓「なんで私がそんなことを……」

唯「ほらほらぁ、甘いよ~? チョコソースのゆーわくだよ~?」

梓「……あ、あーん」

唯「どう、おいしい?」

梓「はい! おいひいです」

唯「梓ちゃん一口でずいぶん食べるねー」

梓「は! ご、ごめんなさい」

90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 00:46:43.45 ID:T3FXd5t50
唯「次! プリクラ撮ろうプリクラプリクラ」

梓「はい!」


唯「あ、風船配ってるー! もらいに行こう!」

梓「え!? も、もう私達高校生なんですよ? ちょっと、手引っ張らないで下さいよー」


唯「風船、もらえてよかったねえ」

梓「なんで唯先輩が二つで私が一つなのかわからないですけど……」

唯「それはまあ、貫禄の差……かな」

梓「どの口がいうんですか」

95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 01:01:24.06 ID:T3FXd5t50

唯「休日はテンションあげてナンボですから!」

梓「平日ですけどね」


唯「わたし、そろそろ弦買わないとなんだよね」

梓「あ、じゃあ私は楽譜の方見ててもいいですか?」

唯「了解! 見終わったら探してねー」

梓「探してねって、できるだけ同じとこにいてくださいよ……」


96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 01:02:15.23 ID:T3FXd5t50
唯「ええっと……うん、これだね! ……あ、ギターがいっぱい」

唯「わあ、ギー太の色違い兄弟さんだ。このくねくねしたのも色がいっぱいあってかわいい」

唯「……あっ、これかわいい! 小さくて赤く……て……」

梓「唯先輩? ああもう、こんなとこに……あ」

梓(私と同じ色のムスタング……)

唯「ねえ梓ちゃん、これ誰のギターだっけ? わたし、見たことある……」

梓(唯先輩が私を忘れてから、ムスタングは見せてない)

唯「えっと……えっと、あれ? 誰?」

梓(もしかして、思い出してくれるかもしれない……!)

唯「……」

138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 18:23:31.50 ID:T3FXd5t50
唯「……えっと」

梓(唯先輩……!)

唯「……わかんないや。ごめんね、変なこといって」

梓「……はは」

唯「あ! わたし、買ってくるね。梓ちゃんはもういいの?」

梓「はい。……大丈夫です」

唯「うん、じゃあ買ってくるから待っててね!」

梓(……そう簡単にはいかないよね)

梓(ちょっと期待した自分が悔しい)

139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 18:45:19.85 ID:T3FXd5t50
唯「今日はすっごく遊んだね! 楽しかったぁ」

梓「ええ、そうですね。ありがとうございました」

唯「どういたしましてー! あっ」

梓「なにか買い忘れですか?」

唯「違う違うっ! ほら見て、月が綺麗だよ!」

梓「え?」

 青黒い空には、月が白く浮かんでいた。月は動かず、眠らず、誰もの記憶の根底に根付いたまま、そこにある。悠々と、どこかを見ている。

唯「月なんていつも見てるのにね。不思議だね、今日は特別綺麗に見える」

142 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 19:22:19.80 ID:T3FXd5t50
梓「唯先輩、夏目漱石って知ってますか」

唯「ん? せんえんさつー」

梓「……そうですよね」

唯「ねえ、梓ちゃん」

梓「はい」

唯「思い出せなくて、ごめんね」

梓「……前も聞きましたよ」

唯「違う。……あのときは、多分。梓ちゃんがどれだけ寂しいのか、わかってなかったよ」

梓「今は、わかってるんですか」

唯「わたしは、そのつもり」

梓「……なら」

143 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 19:41:07.74 ID:T3FXd5t50
唯「ん?」

梓「なら、思い出してください!」

唯「ど、どうしたの梓ちゃん」

梓「梓ちゃんっていうのも嫌です! ……あなたは、きっと私の知ってる唯先輩じゃないんです。猫耳なんてつけようとしないし、抱きついてはこないし」

唯「梓ちゃん、ごめんね。でもわたし、頑張って思い出すから、」

梓「……私のムスタ……む、むったんも! 思い出してくれやしない!」

唯「え」

梓「覚えてないんですか!? なんでですか!? 私のギターは、さっきの赤いムスタングです! ……唯先輩が! むったんっていう名前を、つけたんでしょう!」

梓「私がむったんなんて名前考えると思いますか!? 唯先輩がつけたんですよ! あなたは、私の世界にいたんです!」

唯「……」


144 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 19:42:11.83 ID:T3FXd5t50
梓「……なのに、ギターを見ても思い出しやしない! 全然違う、違う人!」

唯「あずさ、ちゃん」

梓「……でも……やっぱり、唯先輩なんです。人懐っこくて、よく笑って。お騒がせで、優しくて」

唯「あず、」

梓「手が、温かくて……」

梓「私は、唯先輩を覚えてるんです」

唯「あずにゃん」

145 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 19:51:39.45 ID:XwxTAD970
心の奥底ではちゃんと覚えてるんだね

146 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 19:56:23.84 ID:T3FXd5t50
唯「あずにゃん、ごめんね」

梓「……もう、そんな思わせぶりはいいです」

唯「違う。違うよ、思い出した」

梓「え……」

唯「わたしの世界にも、あずにゃんはいたよ。毎日毎日一緒だった。ケーキ食べて、たいやき食べて」

梓「……食べてばっかりですね」

唯「クレープ食べて、アイス食べて……毎日二人で、笑ってたよね」

梓「……はい」

唯「ごめんね、あずにゃん」

梓「ひっく……は、い」

唯「わたし、思い出したよ」

147 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 20:01:59.40 ID:T3FXd5t50
 帰った。あずにゃんは、泣きながら笑ってた。

 部屋のいつもの場所には、CDが落ちていた。不思議なことに、埃をかぶっていなかった。

151 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 20:58:48.92 ID:T3FXd5t50
憂「お姉ちゃーん、起きてー」

唯「ういぃぃ……眠いよ~、あと五分」

憂「さっきも同じこと言ってたよ? ほら、起きてってばー」

唯「うううう」

憂「ほら、起きてよー」

憂「明日はまたお休みなんだから、今日一日頑張って」

154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:06:55.31 ID:T3FXd5t50
律「よお唯!」

唯「りっちゃん! おっはよーっ」

澪「おはよう、唯」

唯「澪ちゃんもおはよー! あれ、ムギちゃんはまだなの?」

律「そうみたいだな、いつも早いのに珍しいなー」

澪「そうだな。昨日のドラマの話、したいんだけどな」

唯「あ、今週はわたしも見たよ! ヒロインの友達の女優さん、かわいいよね~」

161 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:36:02.22 ID:T3FXd5t50
律「おっ、ムギ」

紬「あ、りっちゃん。おはよう」

澪「珍しく遅かったなあ」

紬「ええ……。歩いてたらおば様に道を聞かれちゃったの~。一度道案内してみたかったから、一緒に駅まで戻っちゃって」

律「ムギ全開だなあ」

唯「ムギちゃん、おはようっ! 今日のおやつは?」

澪「会っていきなりそれか」

紬「今日はね、シュークリーム! チョコシューもあるのよ~」

唯「ムギちゃんだいすきー!」


162 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:36:36.23 ID:T3FXd5t50
唯「はあー、授業も終わったねえ」

律「な! 今日もよく学んだぜ!」

澪「お前半分は寝てただろ。ノート貸してやらないぞ」

紬「じゃあ、部活行きましょうか」

唯「うん!」

163 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:43:41.35 ID:T3FXd5t50
音楽室

唯「ん? ギターの音がするね」

澪「もう来てるのか」

律「早いなー」

ガチャリ

164 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:45:49.20 ID:T3FXd5t50
「……あ! 皆さん遅いですよ、もう」

紬「ごめんね。でも今日はシュークリームだから、ね」

「ほう、それは興味深い……って、そうじゃないですっ! ね、じゃないですよムギ先輩」

澪「偉いな、もう練習してたのか?」

「はい! 今日はもう、ちゃんと練習するって決めましたから! 澪先輩も練習しますよね?」

律「ええー、練習したくねー」

「律先輩も! 部長がいう言葉じゃないですよ」

唯「まあまあ、シュークリーム食べてからでも大丈夫だよ」

「でも、そろそろ文化祭に向けて練習しなくちゃ、恥かきますよ」

唯「だいじょーぶ! ね? あずにゃん」


梓「もう……仕方ないですね、特別ですよ!」


おしまい

165 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:47:07.43 ID:T3FXd5t50
以上です
読んでくださった方、ありがとうございました!
なにか突っ込みがあればお答えします

168 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:50:48.39 ID:8PuslCNR0
>>165
>>154で何で急に皆思い出してんの

169 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2011/02/25(金) 21:51:08.28 ID:L/PTpd4G0
つまり平沢が中野のことを思い出すことがループ世界を抜け出す条件だったってこと?

171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:53:19.44 ID:wJq8HlDM0
乙です。面白かったよー
しかし、まだもやもやしている・・・
個人的にもっと練ってミステリーが良かったかなぁ
唯が思い出したら元の世界になるのかね?

172 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:53:36.41 ID:W0aBOndPO
むったんってアニメだと梓が考えてなかったっけ?
それをムギがいい名前ね~的な流れだったような

174 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2011/02/25(金) 21:55:42.61 ID:T3FXd5t50
>>168
木曜日が終わったからです
でも、>>154の世界では木曜日も普通に部活してたことになってます。
唯梓だけが「軽音部に唯と梓がいなく、木曜日しかないパラレルワールド」に飛んだみたいな感じ。
唯が梓を忘れてたのはそのパラレルワールドにちょっと染まったからです。……実は全然まともに考えてなかったごめん

>>169-170
仰るとおりです。ありがとうございます

>>171
ありがとうございます。
自分もなぜかもやもやしてる…どうせ保守られないで落ちると思ってたんでテンションで代理出しちゃいました。ごめんなさい
次はもっと頑張ってミステリします!!

>>172
マジで…!?
情報ありがとうございます

>>173
ごめんなさい…読んでくださってありがとうございました

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