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お茶でも飲みながら「けいおん!」
けいおん!系SSの中から、お茶でも飲みながらマッタリと読みたいほのぼのしたものを中心に、管理人の好みで載せていきます。
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和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~完結編~」
唯和3

218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:36:27.20 ID:BXPKKmlI0
律 「わん・つー!」


律の明朗な掛け声。それに合わせてカツカツとスティックの音が軽快に響く。

待っていたとばかりに音の波がステージいっぱいに広がり、それは瞬く間に客席をも飲み込んでゆく。

ドッと上がる歓声。手拍子。中には指笛なんてお調子者もいて。

私たちと客席の一体感。

それを得られた時、ああ楽しいな。幸せだな。そう、心底思う。

今もそう。この場に立てること、軽音部のみんなと演奏ができたこと。

それが嬉しくてたまらない。

216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:34:28.58 ID:BXPKKmlI0
再び1です。

~本番まであと三日編~を自分で読み返してみて、最後の方がかなりくどかったなと反省。

ということで、唯律フラグ回収編です。
またお付き合いいただけたら幸いです。

前回と同様、ノンビリ進行で行きます。
(毎日の投下はできないかも・・・なので、そこはご容赦を)


219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:38:13.19 ID:BXPKKmlI0
一曲目が終わり、二曲目との間に唯がMCを行う。

唯 「どうもー、軽音部です!」

朗々と、はっきりとした声で。

唯 「えと、新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます!」

人を引き込まずにはいられない、愛くるしい笑顔で。

律 「今の唯のMCは、安心して聞いていられるな」

小声で話しかけてきた律に、私は笑顔でうなづき返した。


今日は新歓ライブ。目の前にはいっぱいの新入生たち。

私たちは二年生になった。


220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:41:33.16 ID:BXPKKmlI0
ライブ後。軽音部!!


律 「楽しかったなぁ~、ライブ!」

澪 「律、目的を履き違えちゃダメだ。楽しむことが目的じゃなかっただろ」

澪 「今日のライブを観た新入生に、軽音部に入部したいって思ってもらえないことにはな」

紬 「まぁまぁ澪ちゃん。私たちが楽しそうに見えなかったら、誰にも入部しようなんて思ってもらえないもの」

唯 「だから、これで正解!ってことだね」

澪 「それもそうか」

和 「そういうことね」

あはははは。

和 「でも・・・・」

唯 「どうしたの、和ちゃん」


221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/06(水) 22:43:53.61 ID:PZLUihfX0
幸せな唯律エンドがいいなあ


222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:44:03.45 ID:BXPKKmlI0
和 「今更だけど、私が一緒でよかったのかしら。それもメインボーカルで」

律 「なに言ってるんだよ。良いんだよ、つーか。和が一緒じゃなきゃダメなんだ」

紬 「私たちのほうこそ。和ちゃん忙しいのに無理いって参加してもらってごめんなさいね」

澪 「でも、お陰で最高のステージになったよ。ありがとう、和」

和 「みんな・・・」


そう、本来であれば、私は今日のステージに立つ資格はないはずだった。

一年の春休みを最後に、軽音部を退部した私には。


律 「それにいちばん最初に和に参加してもらおうって言い出したの、唯だしな」

和 「唯・・・」

唯 「えへへ」


223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:47:18.11 ID:BXPKKmlI0
唯 「あのね和ちゃん。新歓ライブってさ、私たちの一年間の集大成だと思うんだ」

和 「どういうこと?」

唯 「だからね。去年私たちはこんなに楽しい部で過ごしたんだよ!その成果がこれなんだよ!って」

唯 「今年もこんな風に楽しくなるんだよっ、だからここにおいでよって!そう新入生のみんなに知ってもらうのが目的だと思うの」

唯 「だったらそこに和ちゃんがいないなんて、そんなのありえないよ」

唯 「だって去年の軽音部は、この中の誰一人が欠けても、こんなに楽しい部にはならなかったと思うから!」

紬 「うん!」

澪 「唯の言うとおりだ!」

律 「そうだぜ。和は一年間、紛れもなく私たちの専属ボーカルだったんだからな!」

和 「・・・・みんな、ありがとうっ」


224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:51:03.60 ID:BXPKKmlI0
和 「私こそ、私の方こそみんなと一年、この部で過ごせて良かった。楽しかった!」

和 「今日の新歓ライブで私の軽音部での活動は終わったけれど、でm
律 「ちょーっと、待ったぁー!」

和 「ええええ、この流れなのに、ここで止める!?」

律 「早まるなよ。まだ最後じゃないんだぜ、これが」

和 「え・・・」

律 「真鍋和くん!キミにはあと一回、軽音部の活動に参加してもらおう。これは部長命令です!」

和 「え・・・ だって、ちょ・・・ 律?」

唯・澪・紬 くすくす・・・

和 「え?なによ、みんなして!一体どういうこと?」

澪 「和が面食らっちゃってるだろ。早く説明してやりなよ」

律 「悪い悪い。じゃ、唯ー」

唯 「うん!」ばっ!!


225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:54:24.97 ID:BXPKKmlI0
和 「え、なにそれ。チラシ・・・・?」


『真鍋和 壮行会! ~和ちゃんの新しい門出を呪って~』どどんっ


和 「・・・・・・」

唯 「じゃんっ!と、いうわけなんだよー!」

律 「まぁ、いつものお茶会に毛が生えた程度のものだけどさ。だけど主賓を和にすえて」

律 「みんなで飲み物やお菓子持ち寄ってさ、パーティーしようって事になったんだ」

澪 「和には生徒会でも頑張ってもらいたいから、激励の意味を込めて。ね、参加してくれるよな」

和 「・・・・う、うん」

唯 「あれ・・・どうしたの、和ちゃん。微妙な顔つきで・・・ もしかして、乗り気になれなかった?」

和 「そうじゃなくって、その・・・」

紬 「・・・あ、唯ちゃん!祝うっていう字、間違ってるわよ!」

唯 「え?え?」

律 「呪ってどうする・・・」

唯 「あーーーーっ!!」


226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:58:42.17 ID:BXPKKmlI0
『真鍋和 壮行会! ~和ちゃんの新しい門出をXって~』
                              祝 


唯 「というわけで、これです!」ドドン

和 「は、はぁ・・・」

紬 「強引に直しちゃったのね」

律 「はは・・・ まぁ、話を続けるとさ。壮行会の発案者も唯なんだ。なにか和を喜ばせる事がしたいって張り切っちゃってさ」

律 「・・・唯、本当に和のことが大好きなんだな」

唯 「うん。和ちゃん大好きっ」ニコー

和 「・・・・っ」どきっ

紬 「・・・和ちゃん?」

和 「い、いえ・・・ あの、みんなありがとう。喜んで参加させてもらうわね」

唯 「やったぁー♪」

律 「おおー!良かったなぁ、唯。企画して、がんばってチラシを作ってきた甲斐があったなー」なでなで

唯 「えへへへ。もっと撫でてもっと撫でて」


227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 22:59:58.74 ID:BXPKKmlI0
あ・・・ずれた・・・(汗
226の一行目 ”X”の下に”祝”の字があるって脳内変換してください・・・


228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:03:53.32 ID:BXPKKmlI0
律 「ん?よぉし。よーしよしよしよし!よしよしよしよし!!これでどうだ!」なでなでなで

唯 「えへへへへへへへへへへへ」ワンワン

澪 「律・・・ムツゴロウさんか」

紬 「唯ちゃんのほうは、まるでワンちゃんみたいね」

澪 「そういや唯って、そこはかとなく犬っぽいところあるよな・・・」

律 「まだか?まだいくか!?よしよしよしよーし!よーしよしよし!!」

唯 「えへへ・・・へ・・・」

和 (もやっ)

澪 「仲睦まじすぎだろ。ね、和」

和 「・・・そ、そうね」

和 (なにかしら。胸の奥のほう。なんか重い・・・ もやもやとする)


229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:08:47.02 ID:BXPKKmlI0
帰り道!!


和 「日の沈むのがすっかり遅くなったわね。この時間なのに、まだ明るい」

唯 「そうだね。それに暖かくなってきたし、すっかり春って感じだよ」

和 「うん」

唯 「あの頃も、このくらいの時期だったよね・・・・」

和 「ええ、早いものよね。あっという間の一年だったわ」

唯 「うん。私たちが軽音部に入って、みんなと出会って・・・」

唯 「私、笑えるようになって」

和 「唯・・・」

唯 「和ちゃんがいたから。和ちゃんがいなかったら、私・・・ ずっと暗いところで一人、膝を抱えてたと思う」

和 「・・・・」

唯 「ありがとね、和ちゃん。何度でも言うよ。ありがとう、和ちゃん。大好き」

和 「・・・・私も、唯が大好きよ」

唯 「へへ」


230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:13:14.84 ID:BXPKKmlI0
唯 「それでね、約束・・・」

和 「ん?」

唯 「約束、一つまだ果たしてなかったよね」

和 「うん、そうだったわね。律に・・・」

唯 「告白、一年生のうちにすること、できなかったよ」

和 「まぁ、こういうのはタイミングだわ。慌てても何も良いこと無いもの」

唯 「そうだけど、でもね。言ってたよね、安心して生徒会に行くためにも、私が気持ちを打ち明けるのを見届けたいって」

和 「それは・・・」

唯 「するよ」

和 「唯・・・」

唯 「告白、する」

和 「・・・・」

唯 「大好きな和ちゃんに安心してもらいたいから。それに・・・」

和 「それに?」

唯 「和ちゃんのお陰で取り戻せた笑顔でね、今なら何でもできそうな気がするんだ」


231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:17:51.07 ID:BXPKKmlI0
和 「そう・・・ そうね。今の唯だったら。ステージでも堂々、MCをこなせる度胸もついた唯なら、ね」

唯 「あれでも実は心臓バックバク。今にも卒倒しそうなのをかなり堪えてたんだけどねー」

和 「ふふ、そうだったんだ?」

唯 「うん。でもがんばれた。だから、告白もがんばる。心配しないでね、和ちゃん」

和 「うん。じゃあ、安心しておく」


言って私はにこりと微笑んだ。

内心の動揺を悟られないように、努めて明るく。自然に。

でも、なぜ?なぜ私は動揺しているの?何に?

唯とは昔通りの親友に戻り、共依存のくびきからは開放されたはずと思っていたのに。

なのに、この喪失感は何だって言うのだろう。

・・・・・・

分からない。戸惑いを拭うことができない。


232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:20:34.56 ID:BXPKKmlI0
和 「そ、それで。告白はいつするの?」

唯 「うん。こういうのってタイミングだって和ちゃんは言ってくれたけど。でも・・・・」

唯 「やっぱりこの日に!って決めておかないと、自分に言い訳してズルズル先延ばしにしちゃいそうで怖いから・・・」

和 「うん・・・」

唯 「和ちゃんの壮行会の日。りっちゃんと二人きりになれるタイミングを狙って、私は行くよ!」

和 「そっか。うん、がんばってね。唯」

唯 「がんばる!」フンス


鼻息も荒く、決意に満ちた目で微笑みかけてくる唯。

そういう顔もできるようになったんだ。なんだか少し、唯が頼もしく思えてくる。

翻って私は?内心のもやもやを唯に感づかれてはいないだろうか。うまく隠せているだろうか?

内心の葛藤の原因を私自身が測りかねている。だから無理やり笑う。唯と、私自身を誤魔化すように。


和 「唯、がんばれ」


もう一度言った私に、唯が自信に満ちた笑顔でうなづき返した。


233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:26:25.52 ID:BXPKKmlI0
帰り道 唯と別れたあと!!


? 「あれ、和ち・・・さん?」

和 「え・・・ 憂?」

憂 「やっぱり和さんだ。こんばんわ!」

和 「こんばんわ、憂。どうしたの?家、こっちのほうじゃないでしょう」

憂 「えへへ・・・ ちょっと寄り道。お買い物してきたの」

和 「そうなんだ。そちらは友達?」

憂 「うん。同じクラスの鈴木純ちゃん。中学から一緒なの」

純 「こんばんわ!」

憂 「純ちゃん、こちら真鍋和さん。先輩で、私の幼馴染でもあるんだ」

純 「うん、知ってる!憂や憂のお姉さんと一緒にいるところ、何度か見たことあるから」

和 「こんばんわ、鈴木さん」

純 「純でいいです!」

和 「うん、じゃあ。純、さん」


234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:30:15.47 ID:BXPKKmlI0
純 「あの、今日のライブ!すっごいカッコよかったです!」

和 「ありがとう。そう言ってもらえると、がんばった甲斐があったわ」

純 「もう感激しちゃって!真鍋先輩みたいなカッコいい人がいるなら、私!軽音部に入っちゃおうかな~」

憂 「あ・・・ あのね、純ちゃん」

純 「ん??」

和 「ごめんね。せっかくかっこ良いって言ってもらえたんだけど、私。もう軽音部じゃないのよ」

純 「え・・・?」

和 「今日のステージには上がらせてもらったけど、本当は私、一年の終わりで軽音部を退部しているの」

純 「あ・・・ そうなんだ・・・」ガッカリ

憂 「あ、で、でも!他にも格好いい先輩いるし、お姉ちゃんも軽音部はいってからすっごく楽しそうだし!」

憂 「純ちゃんが入ってくれたら、きっと皆さん喜んでくれると思うな~」

純 「うーん、でも。真鍋先輩がいないんじゃなぁ。いやね、ジャズ研究会にもカッコいい先輩がいてさぁ」

純 「どっち入るか迷ってたんだけど、うーむ」

憂 「・・・・そこなんだ」

和 (面白い子)


235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:33:40.92 ID:BXPKKmlI0
・・・・・・・・

純 「それじゃ私こっちだから。またね、憂。真鍋先輩も失礼します!」トテチテ・・・

憂 「うん、また明日ねー」

和 「さよなら」

憂 「・・・・」

和 「・・・・憂」

憂 「なぁに、和ちゃん?」

和 「私って、カッコいいの?」

憂 「うん、かなりカッコいいと思う」

和 「・・・・///」

憂 (照れてる和ちゃん、可愛い・・・)

和 「でも、じゃあ・・・・」

憂 「え?」

和 「律と私だったら、どっちのが格好いいのかしら・・・?」

憂 「律先輩と和ちゃん・・・えっと、それ・・・どういうこと?」

和 「・・・・はっ」


236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:39:38.48 ID:BXPKKmlI0
和 「な、なんでもない!それじゃ憂、私もう行くから!また学校でね」タッタッタ

憂 「え、あ・・・うん。また・・・」

憂 「・・・・行っちゃった。変な和ちゃん」


私、憂に何を言ってるのかしら。ううん、それ以前に・・・・

なんで人と・・・律と自分を比べるようなことを口に出して・・・・

なんなの、さっきから何だってのよ、私。もう、私!ああ、私!!

・・・・私

私はどうしてしまったのだろう。

もう、自分で自分がわからない・・・・


237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:46:32.84 ID:BXPKKmlI0
数日後の放課後 軽音部!!

壮行会当日!!


律 「いえーーい♪それでは皆さんお待ちかね!これより我らが専属ボーカル ノドカ・マナベのぉーーー・・・」

紬 「どこどこどこどこどこ・・・どどん!!」

律 「壮行会を開始したいと思いまーす!!!」

澪 「ぱちぱちぱち!」

唯 「ちぇけらっちょい!」

和 「ノリが・・・」

律 「引くな引くな、主役ぅ。今日は、楽しく飲み食いしようぜー!」

澪 「もちろん飲み物はお茶とジュースだけど、な」

紬 「みんな、ちゃんと隠し芸考えてきた?一人一芸だからね、たくさん和ちゃんを笑わせた人が勝ちー」

律 「ふっふっふ。抜かりはないぞ!部室中を笑いの渦に巻き込み、一人残らず腸捻転で病院送りにしてくれる!」

唯 「私も負けないもん。みんな笑いすぎて、下顎もげちゃうよ。きっと!!」

和 「何だか物騒ねぇ」

律 「よーし、騒ぐぞ!楽しむぞーー!」

おーっ!!

和 (唯・・・見た感じ普通だけど、大丈夫かしら・・・)

和 (あ、だめ。今日は私のための壮行会。せっかくのみんなの好意なんだから。私も楽しむことに集中しないと)

和 (でも・・・)


238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:49:12.34 ID:BXPKKmlI0
そして一時間後!!


律 「なぁ、澪」

澪 「ん、なんだ?」

律 「あのさ。コーヒー飲むとトイレが近くなるのは、なんでだと思う?」

澪 「・・・・行ってこい」

律 「はいはーい。ちょっとごめんよ、すぐ戻るからな」トコトコ・・・バタン

唯 (りっちゃん・・・ 今なら!)

澪 「まったく。・・・ん?唯、どこに行くんだ?」

唯 「あ、うん。私もちょっとトイレに。へへへ」

和 (唯・・・・)

唯 「ごめんね。ちゃちゃっと済ませてくるから」トコトコ・・・バタン

澪 「連鎖反応というやつだろうか」

紬 「そうね、一緒にトイレは女の子の基本よねー」

澪 「そ、そうか?」

紬 「うふふふふふ♪」

和 「・・・・」


239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:53:15.65 ID:BXPKKmlI0
気になる。

唯、きちんと自分の想いを言葉に託せるかしら。

託せたとして、律にその気持ちは届くのかな。

気持ちが通じたなら、二人は相思相愛となって、恋人になって。

ハッピーエンド。唯はきっと幸せで、花を咲かせたように笑顔がもっともっと輝いて。

そうなって欲しい。唯には幸せになって欲しい。この気持ちは真実。偽りなんてない。

・・・・ないはずなのに。

苦しい。胸が苦しいよ。

二人が上手くいった後の事を思うと、まるで心が押しつぶされる様。

交錯する、私の二つの想い。これは一体、なんなんだろう。


紬 「・・・・ちゃん?」


私は、私の心が・・・


紬 「・・・どかちゃん?」


自分の心が分からない・・・!!


紬 「和ちゃん!」

和 「えっ!?」


240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/06(水) 23:56:34.90 ID:BXPKKmlI0
和 「む、ムギ・・・ え?な、なに?」

紬 「何って・・・大丈夫?和ちゃん」

和 「え・・・?」

紬 「なんだかとっても、辛そうな顔をしてる」

和 「私が・・・?」

澪 「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」

和 「ううん、違う。ごめん、なんでもないの。あ、でも」スクッ

和 「ちょっと私もトイレに行って来るわね」

澪 「一人で平気か?なんだったら一緒に行っても・・・」

和 「あは、大げさね。一人で平気よ。でも、ありがとう」


気になる。唯の告白がどうなったのかが。

本当はこんな覗きのような下衆なまね、褒められたことではないんだろうけれど。

でも、このまま考えあぐねていたら、きっと耐えきれなくなる。

・・・見届けなくちゃ、唯の告白を。


245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:07:32.25 ID:HoR1M+xB0
階段 踊り場!!


律 「話って何だよ。早くしてくれないと、私の尿意が臨界点突破しちゃうだろ」

唯 「あ、ごめん。でもその、すぐ済むから・・・あのね・・・」

和 (あ・・・唯。こんな、部室のすぐ下で。相変わらず天然ね。誰かに見られたらどうするのよ・・・)

和 (・・・て、私が見てるんだけれどね。とりあえず手すりの陰に隠れて・・・と)

律 「で、話って?」

唯 「うん・・・・」

和 「・・・・・」

唯 「りっちゃん、前に言ってくれたよね。言いたいことがある時は、考えるより先に言ってしまえって」

律 「ああ、言ったな」

唯 「その言葉、とっても励みになったんだよね。私、色んなことを内に込めて考え込んじゃうの、癖になっちゃってたから・・・」

律 「以前はそうだったな。でも今の唯は・・・て、ん?」

唯 「だからね・・・私ね・・・」フルフル

律 「・・・唯。ちょっと震えてんぞ?顔も心なしか赤く・・・はっ!?尿意か!?尿意がまんしてるのか!?」

律 「ちょっ、そんなんなるまでがまんするなって!話はトイレに行ってから聞くk
唯 「りっちゃん!」

律 「はいっ!?」


246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:10:19.82 ID:HoR1M+xB0
唯 「好きです!!」

律 「ふへっ!?」

和 (・・・・言った!)

唯 「・・・・・」かぁ~~~

律 「な、へ?あ、ちょ・・・ビックリした。なんだよ、唐突に。んなの、私だって唯のことは大好きだぞ。はは・・・」

唯 「・・・違うよ。その好きじゃなくって、もっと・・・」

律 「!? ・・・あ。いや!ちょ、ちょっと待って」

唯 「いま口をつぐんだら、きっともう言うことができなくなっちゃうと思うんだ。だから」

律 「待て、待てって・・・」

唯 「りっちゃん。ずっと。あの日、ギターを買いに行った日からずっと。ずっとりっちゃんのことばっかり考えちゃうようになっちゃって・・・」

律 「だから、ちょっと待ってくれって・・・」

唯 「寝てても起きてても、ご飯食べてても。いま、りっちゃんは何をしてるのかな?会いたいなって」

律 「唯・・・」

唯 「顔を見てお話したいな。ずっと一緒に、隣にいたいなって・・・ ね、りっちゃん」

律 「やめてくれよ」

唯 「だから私、一世一代の決心をしてきたよ。りっちゃんに教えてもらった、大切なこと。言うべきことを言うんだって、私」

律 「・・・・!」


247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:16:17.62 ID:HoR1M+xB0
唯 「りっちゃん、大好き。私とつきあってk
律 「唯っ!!」

唯 「っ!」ビクッ

律 「やめろって言ってるだろ・・・」

唯 「り、りっちゃん・・・・」

律 「確かに言いたいことは言えって言ったけどさ、相手がやめろって言ってるのに我を押し通せと話した覚えはないぞ」

唯 「・・・あ。ご、ごめん・・・」

律 「・・・・・」

唯 「・・・・・」

律 「いや、私も大声出して悪かったな。でもさ、そっから先は言うなよ。な、唯」

唯 「え、それって・・・・」

律 「みんな楽しく、さ。波風立てずにやって行きたいだろ?そういうわけだからさ、な?」

唯 「りっちゃん・・・・うん、わかったよ・・・ごめんね・・・」

律 「・・・・」

和 (・・・・・)


248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:35:05.81 ID:HoR1M+xB0
律 「と、とりあえずさ、溢れんばかりのこの尿意をどうにかしてこようぜ。もう私、漏れちゃいそうでさー・・はは」

唯 「うん、そうだね。じゃ、ト・・・イレ・・・にっ」

唯 「・・・・・・・・・・」

唯 「・・・・・う~~~~」ポロポロ

律 「ゆ、唯・・・・」

唯 「っ」ダッ!

律 「あ、唯!ちょっと待・・・」

律 「・・・・唯」


かたっ


律 「え・・・・?」

和 「・・・・・律っ」

律 「和?」


249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:42:00.77 ID:HoR1M+xB0
律 「ははっ、なに。見てたの?ずっと?」

和 「・・・・」

律 「覗き見とは高尚な趣味だな。ええ、和」

和 「唯の想いに応えてあげないのね」

律 「・・・・応えられるわけないだろ」

和 「二人のこと、ずっと見ていたから意外だったわ。律も唯のこと、まんざらでもないって思ってたもの」

和 「唯のこと、好きじゃなかったのね」

律 「・・・・・・好きだよ」

和 「っ!?・・・だ、だったら・・・」 

和 「だったらなんで!?」

律 「好きに決まってるだろ!大好きだ!和やムギと同じ、とっても大好きな友達だ!」

和 「・・・・・え」

律 「・・・・・・」

和 「澪・・・なの?」

律 「・・・・・・」


250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 13:54:46.00 ID:HoR1M+xB0
和 「・・・そう。分かったわ」タッ

律 「おい、どこに行くんだよ?」

和 「唯を追いかける。放っては置けないでしょ」

律 「そうか・・・その前に、さ。和・・・」

和 「・・・なに?」

律 「なんでお前・・・和まで、泣いてんの・・・?」

和 「え・・・?」

うそ。私、泣いてる?

気がつかなかった。律に言われて初めて、私の頬を涙の粒がポロポロポロポロと。

とめどなく溢れ出ていることを知った。

ポロポロポロポロ後から後から、まるで瞳が決壊したみたいに際限なく。これは・・・・

これは一体、何に対する涙なのだろう。


251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:05:13.89 ID:HoR1M+xB0
和 「これは、べっ、別に・・・」グシッ

零れ落ちる涙を袖で乱暴にぬぐう。

和 「律には・・・関係ないっ」

律 「まぁ、関係ないかもだけどさ。だけど、和・・・」

律 「・・・・・」ジー

和 「な、なによ。人の泣き顔をまじまじと見て!」

律 「・・・・なぁ和。これはお前と一緒で、ずっと和と唯を見ていて思ってたことなんだけれど」

和 「だから、なに?」

律 「和こそ・・・もしかして、唯のことが好きなんじゃないのか?」

和 「・・・え?」

律 「もちろん、唯が私に言ってくれた”好き”と、同じ意味合いとしての、な?」

和 「な、何を言って・・・ふざけるのも大概にしてよ!」

律 「この状況でふざけられるわけないだろ」

和 「ぐ・・・だ、だって!だって私は唯の親友なのよ!」

律 「・・・っ!んなの関係あるかよっ!!」

和 「っ!」


252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:10:30.19 ID:HoR1M+xB0
律 「・・・和、もし私の言ってる通りなんだったらさ・・・」

和 「・・・・律」

律 「ん、ああ・・・」

和 「・・・・私、唯を追うから。せっかくの壮行会、途中で抜けてごめんね。皆にはうまく言っておいて・・・」

律 「分かった・・・」

和 「それじゃ私、行くね」タッ

律 「・・・・・・」

律 「・・・・トイレ、行くか」


軽音部!!


律 「たっだいまー・・・」

澪 「おかえり。ずいぶん遅かったな」

律 「あ、あー・・・限界までがまんしてたからかな、出たら止まらなくなっちゃってさ」

澪 「相変わらず、下品なやつだ・・・」

紬 「あれ、唯ちゃんと和ちゃんは?途中で一緒にならなかったの?」

律 「あいつらね、うん。その・・・唯、ちょっと具合悪くしたみたいでさ」

澪 「え?それでどうしたんだ!?」

律 「心配ないよ。和が連れて一緒に帰った。だから、今日の壮行会はこれでお開きだな」

澪 「そ、そうか・・・仕方がないとはいえ、ちょっと残念だな」


253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:14:20.96 ID:HoR1M+xB0
紬 「じゃあ。ここを片付けたら、私たちも唯ちゃんのお見舞いに行きましょうか」

澪 「そうだな。さっきまで元気だったのに、急に体調を崩すなんて心配だし。じゃあ、手早く片付けて・・・」

律 「いや。大げさにしても気を使わせるだけだろ。ここは和に任せておこうぜ」

紬 「うーん・・・心配だけど。そうね、じゃあ代わりにお見舞いメールでも送ってあげたらどうかしら?」

澪 「ああ、大勢で押しかけるより、その方がいいかもな」

律 「・・・・」

澪 「・・・律?」

律 「あ、ああ。じゃあ、ちゃちゃっと片付けて帰ろうぜ」

澪 (・・・?)


帰り道!!


紬 「それじゃ私、こっちだから。みんな、また明日ねー」

澪 「ああ、気をつけてな」

律 「明日なー」


254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:20:02.15 ID:HoR1M+xB0
澪 「さて、律・・・二人きりだな」

律 「え、なに!?なんでそんなこと言うの!?私を犯す気!?!」キャー

澪 「・・・気持ち悪いこと言うなよ」

律 「なんつてな。はっは」

澪 「・・・なにがあった?」

律 「・・・・」

澪 「・・・律」

律 「ちぇー。澪には全部お見通しか」

澪 「付き合い、長いからな。それに律は分かりやすい」

律 「はは・・・は。いや・・・笑ってる場合じゃないんだけどさ。はは・・・」

澪 「私でよければ、話を聞くぞ」

律 「ありがと・・・・」


255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:26:38.84 ID:HoR1M+xB0
マック 店内!!


澪 「告白された!?」

律 「声大きいって!・・・私から言ったって、言うなよ?」

澪 「誰にも言えないよ、こんなこと。しかし、そうか。あの唯がなぁ・・・」

律 「気づいてなかった?」

澪 「律ほど分かりやすくないしな、唯は。まぁ、律に好感を抱いてるとは思っていたけど、それが恋心だったとは・・・」

律 「恋心とか言うなよ。ハズいから・・・」

澪 「なんか、いつもと逆だな。私の言葉で律が恥ずかしがるなんて。なんだか新鮮だ」

律 「茶化すなよ。こっちは真剣なんだ」

澪 「・・・・真剣に応えるってことか?唯の気持ちに・・・」

律 「応えられないから、真剣に悩んでるんだ」

澪 「そっか・・・」


256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:33:18.68 ID:HoR1M+xB0
律 「なぁ、澪・・・」

澪 「ん?」

律 「真剣って言えばさ。唯もほんと、真剣な顔でさ・・・私のことを好きだって言おうとしてくれたんだ」

澪 「うん」

律 「でもさ・・・私も気が動転しちゃってて。唯の告白を最後まで聞いちゃったら、私も答え、ハッキリと出さなきゃならなくなるだろ?」

澪 「それはそうだな」

律 「・・・・どう答えて良いか分からなかったんだ。だからさ、最後まで言わせなかった」

澪 「・・・・」

律 「だって、唯の気持ちは嬉しいけど・・・応えられない以上は断らなきゃならない。だけど・・・」

律 「どんな言葉で言いつくろっても、唯を傷つけちゃいそうで怖かった・・・から・・・」

澪 「律・・・」

律 「そしたら唯、すっごく悲しそうな顔をしちゃって。結局さ、私はいちばん酷いやり方で唯を傷つけちゃったんじゃないかなぁって・・・」

律 「私・・・唯に嫌われちゃった・・・かも・・・」グスッ


257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:39:28.72 ID:HoR1M+xB0
澪 「なるほどね。律にしては、えらく後ろ向きになってるな」

律 「な、なんだよー・・・」ヒグヒグッ

澪 「律、たしか唯にこんなこと言ってたよな?思ったことは、考えるより先に口に出せって」

律 (あ・・・それ、さっき唯も言ってた・・・)

澪 「そうすることで開ける道もあるって、そう言ったのおまえだよな?律」

律 「言った・・・・かも・・・・」

澪 「自分が言ったことには責任を持て。有言実行。部長のお前が範を垂れないで、どうするんだよ」

澪 「唯の想いに、律。自分の言葉できちんと返事をしてやるべきじゃないのか」

律 「でも、唯になんて言えば良いの・・・?」

澪 「どうせ伝えたい事は頭の中に浮かんでるんだろ?だったらアレコレ考えずに、思いの丈をぶつければ良いんじゃないかな?」

澪 「本音を晒して、それで人のことを悪し様に思うような唯じゃないだろ」

律 「う・・・うん・・・ そうだよね・・・ そうだな」グシグシ

律 「よっし!明日だ!明日、きちんと唯と話をするよ」

澪 「うん、それが良い。唯もきっと、律の言葉を待っていると思うよ」


258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/07(木) 14:44:22.95 ID:HoR1M+xB0
律 「・・・しかしそうは言っても、唯になんて言って声をかけるかなぁ。本音とはいえ、言葉は選ばないとだし・・・」

澪 「あまり言葉を飾ろうとするなよ。素直なのが一ばん心に届く」

律 「そうだな」

澪 「・・・私も」

律 「・・・ん?」

澪 「私もさ、一つ良いかな・・・」

律 「よく分からないけど、一つでも二つでもどうぞ。で、なにが?」

澪 「・・・素直な言葉を一つ。ここで言ってしまおうかなと思って、さ」

律 「お??澪にもなにかあったのか・・・?私で良ければ何でも聞くぞー」

澪 「うん。・・・ちょっと酷いことを言ってしまうと思うけどさ、良いかな?」

律 「え・・・今はあまり心が折れそうな事、言って欲しくないなぁ・・・」

澪 「そういうのじゃないよ。ただ・・・・」

律 「・・・・」

澪 「律と唯が両思いじゃなくって、良かったなって・・・・」

律 「・・・・え?」

澪 「唯には悪いけど・・・正直、ホッとしてるんだ、今」

律 「み、澪・・・それって・・・」

澪 「私、勝手で酷いやつだよな。でも・・・それが今の正直な。素直な気持ち・・・」

律 「あ・・・う・・・///」

澪 「///」


261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 17:53:17.02 ID:uW/FptPeo
これは予想外の展開になってまいりました……
待ってまっせ~


262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 18:26:11.28 ID:e+1rocVDO
まぁ!りっちゃんったら罪作りな子!
おつー


265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/07(木) 21:49:01.69 ID:tT+xyR1I0
文章も読みやすいし、上手いと思うんだけど時折展開に無理があるな
唯が律を好きになる、それも恋愛的な意味で好きになるのが唐突すぎる
唯律展開にする気がないなら、何のためにフラグを入れたのかよく分からん
唯をキャラ変してまで何が書きたかったのかちょっと意味不明


266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 22:51:26.71 ID:e+1rocVDO
>>265 俺はあんたが何を言いたいのかがわからんです
キャラ変ってか、これはそういうSSなんだって受け止めて読もうぜ?


269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 21:51:35.76 ID:CHJUaWgU0
平沢家!!

和 (けっきょく学校では唯を捕まえることができなかった)

和 (家に・・・戻ってくれてれば良いんだけれど)


ピンポーン♪


憂 「はい・・・(がちゃっ)あれ、和ちゃん」

和 「こんばんわ、憂。唯、戻ってる?」

憂 「うん・・・さっき、帰ってきたところ」

和 「良かった・・・お邪魔して良い?」

憂 「うん、良いけど・・・ねぇ、和ちゃん。学校でなにかあったの?」

和 「・・・どうして?」

憂 「どうしてって、お姉ちゃん。すごく沈んだ顔で帰ってきたから・・・・」

憂 「最近のお姉ちゃん、いつもニコニコ笑顔で帰ってきて、軽音部であった事とかを楽しそうに話してくれるのに」

憂 「今日は靴を脱ぐなり、すぐに部屋に直行してそのまんま・・・こんなの最近のお姉ちゃんじゃ無かったことだもん」

和 (唯・・・)

憂 「これってまるで以前の・・・」

和 「と、とにかく、上がらせてもらうわね」

憂 「う、うん・・・」


270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 21:54:41.89 ID:CHJUaWgU0
唯の部屋の前!!


こんこん


憂 「お姉ちゃん、和ちゃん来てくれたけど・・・」

唯 「どーぞー」

憂 「声は・・・いつも通りな感じ」

和 「うん。さ、あとは私と唯の二人にしてくれる?」

憂 「分かったよ、和ちゃん。・・・何があったか知らないけれど、和ちゃん。信用してるから・・・」

和 「ありがとう。・・・唯、入るわよ」ガチャッ


ドアを後ろ手に閉める。憂の不安げな表情が、隙間の中に吸い込まれるようにして消えた。


唯 「いらっしゃい、和ちゃん・・・」

和 「唯・・・」


ベッドの上に膝を抱えて座っている唯。その姿に・・・

私の背筋をアイスピックで貫かれたかのように、冷たく鋭利な何かが走り抜ける。

(そんなの分からないだろ。心なんてデリケートなもの、何がきっかけで崩れちゃうかなんてさ)

いつかの律の言葉が、脳裏に蘇る。まさか・・・冷たい汗が頬を伝うのを感じた。

まさか・・・また・・・

い、いやだ!

たまらず側に駆け寄ろうとした私に向け、唯が顔を上げた。目と目が合う。


和 「・・・あ」


その瞳を凝視して、私の不安は杞憂だと悟った。とともに、思わず肺腑から漏れる安堵の息。

唯の瞳は、くすんではいなかった。


271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:06:19.12 ID:CHJUaWgU0
唯 「・・・和ちゃん。壮行会、途中で抜けちゃってごめんね。私、言いだしっぺだったのに」

和 「良いのよ」

唯 「わざわざ来てくれたって事は、何があったか知ってるんだよね?」

和 「ごめん。どうしても気になっちゃって。こっそり・・・様子を、ね」

唯 「そっかー・・・へへ、私、ふられちゃったよ。おっかしーね」

和 「おかしくなんかないわ」

唯 「上手く、いくって勝手に思い込んじゃってたから。ちょっとショックが大きかったんだ」

和 「・・・そう」

唯 「和ちゃんに軽音部につれて来られて。みんなと知り合って、楽しい時間を過ごして・・・」

唯 「私、笑えるようになって。なんだか全てのことが上手く運んでたから、告白もぜったい成功するんだって、変な自信を・・・」

和 「唯・・・」

唯 「でもでも、今まで上手くいったのは、あくまで私の心の問題。今回の事は・・・相手の気持ちがあってのことだもんね」

唯 「・・・軽く、考えすぎていたの、かも」ニコー

和 「・・・」


272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:13:24.80 ID:CHJUaWgU0
唯 「へへ・・・で、どうして良いかわからなくなっちゃって、気づいたら家に向かって走ってました!」

和 「・・・」

唯 「私もまだまだ弱いよね。でも、もう平気だよ。明日は普通に部活にも出るし、りっちゃんともいつも通りだから!」

和 「・・・」

唯 「ちょっと泣いたら落ち着いたし、もう和ちゃんを心配させるような事にはならないから、ね」

和 「・・・」

唯 「だから和ちゃんも安心して生徒会に・・・」


確かに唯は強くなった。失恋してしまっても、もう昔のように内に篭って心の傷をえぐるような真似はしないだろう。

でも、だからといってそれは辛い出来事を、心についてしまった傷をなかったことにできる訳ではない。

唯・・・今は私の手前笑っているけど、きっと悲しくて悲しくて仕方がないに違いない。


だって・・・


今でもその両目は溢れんばかりに涙をたたえ、肩は小刻みに震え続けているんだもの。

なんだろう・・・そんな唯を見ていたら。

悲しいのを堪え微笑んでいる唯が健気で、いじましくて・・・・

たまらなく、愛しい。


273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:23:32.22 ID:CHJUaWgU0
和 「唯っ・・・!」

思わずベッドの上の唯を抱きしめる。唯もそれに応えて力を抜き、私にしな垂れかかってきた。

唯 「和ちゃん・・・」

和 「律はバカよ・・・」

唯 「え・・・?」

和 「大バカも良いところだわ。唯の、こんな良い子の想いを拒絶するだなんて。ありえない大バカよ!」

唯 「やめて・・・りっちゃんのこと悪く言わないで?」

この期に及んで律を庇う優しさに触れ、唯を抱く腕にも知らずに力がこもる。

唯 「いたっ・・・ちょ、苦しいよ、和ちゃん・・・」

和 「私だったら!」

唯 「・・・?」

和 「私だったら、唯にこんな悲しい思いをさせたりなんて、絶対にしないのに・・・」

唯 「和ちゃん、なにを言って・・・」

和 「悔しい・・・悔しいよ、唯ぃ・・・」

唯 「なにが悔しいの?」

和 「分からない。わからないよ・・・でも・・・・」


分からないと言いつつも、私には分かったことが一つあった。

律の前で、唯の失恋を目の当たりにして流れ出た、私の涙の意味。


274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:27:59.90 ID:CHJUaWgU0
それは、唯の口から紡がれた告白の言葉が、私には向けられなかったこと。

そしてそれなのに、その告白が成就しなかったという現実。

この二つに対しての、悔しさの涙だったんだ。


不安げに私を見つめる唯の潤んだ瞳。泣き腫らして、少し厚ぼったくなった瞼。

嗚咽を堪えたためだろう、少し熱を帯びて甘く香る唯の吐息。

私の腕の中で震えている、華奢な肩。


和 「唯・・・」

唯 「の、和ちゃん・・・?」


所在無げに半ば開かれた、唯の唇・・・・

気がついたら私は


和 「・・・んっ」


唯の。一番大切に思っている親友の唇に


唯 「・・・・っ!?」


自分のそれを重ね合わせていた。

和 (唯・・・唯っ!)


唯 「んむっ・・・」


何が起きているのか分からないといった風に見開かれた唯の目。

驚きと戸惑いをない交ぜにして、私を見ている。でも・・・

唯は私のキスを拒絶はしなかった。


275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:40:08.53 ID:CHJUaWgU0
・・・・

・・・・

和 「・・・・ごめんなさい、唯」

唯 「謝らなくってもいいけど・・・」

和 「嫌じゃなかった?」

唯 「和ちゃんだもん、嫌なんて思わないよ。だけど・・・どうしてキスなんか・・・」

和 「唯、今日ね。唯が律にふられた後、私、律とちょっと言い合っちゃったの」

唯 「・・・え」

和 「そこで、情けないわね。私ね、泣いちゃってた。自分でも気がつかないうちに、ポロポロ涙が溢れてきちゃって」

唯 「和ちゃん・・・」

和 「それを見ていた律がね、私に言ったのよ」

唯 「・・・・」

和 「・・・・」

唯 「・・・りっちゃんは、なんて?」

和 「・・・和は、唯が・・・好きなんじゃないのかって」

唯 「和ちゃんが、私を・・・」

和 「唯が律に言ったのと、同じ意味合いでって、ね」

唯 「そ、それって・・・」


276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:46:15.17 ID:CHJUaWgU0
和 「律と別れてから。ここに来るまでの道すがら。ううん、唯の顔を見た後も・・・」

唯 「・・・・」

和 「私、律の言った言葉をずっと反芻してた。頭の中、心の底、私が唯に抱いている想い。律の言った意味・・・」

和 「ううん、今日のことだけじゃない。去年、唯の笑顔を律に取られたと思って落ち込んだ時の焦燥感・・・」

和 「初めて唯の口から、律のことを好きだと聞いた時の喪失感・・・そして」

和 「いつかのカラオケの帰り、思わず口をついで出た・・・唯、大好きっていう、その言葉の意味・・・・」

唯 「のど・・・かちゃん・・・」

和 「自分でも計りかねていた、本当の意味・・・」

和 「・・・さすがは律、部長なだけあって慧眼ね。私自身が気づかずに・・・・違うか」

和 「気づかないフリをして感情の底に押し込んでた、唯への想い・・・それ、向けられてる本人より先に、気付いちゃうんだもの」

唯 「和ちゃん・・・和ちゃん・・・」


友達だ親友だという感情のフィルターに覆われて見えてこなかった本心が、律という第三者の言葉によってハッキリと。

今、私の気持ちの表面に。目に見える形で。浮かび上がった。

目の前の唯を通して。この気持ちは紛れもない。

和 「唯、私はあなたを愛している。ずっと昔から、今の今まで。変わらずに」


この想いは、恋、だ。


277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:51:55.62 ID:CHJUaWgU0
和 「・・・・言っちゃった。はは、勢いですらっと言っちゃったけど、これって結構はずかしいものね」

唯 「・・・・・」

和 「その・・・ごめんなさいね、こんな時。こんなタイミングで。唯、それどころじゃないのにね・・・」

唯 「・・・・・」

和 「・・・・唯?」

唯 「和ちゃん、ごめんねーーー・・・」グスッ

和 「えっ!?」

唯 「ほんとにごめんー・・うぅー・・・うあー・・・」ポロポロ

和 「な、どうしたの?ちょ・・・大丈夫、唯?」

唯 「辛かったよね?苦しかったよね?私、和ちゃんの気持ちなんか考えずに、浮かれちゃって・・・・」

和 「・・・・唯」

唯 「りっちゃんのことばかり話して、告白の相談までして・・・それなのに和ちゃん、嫌な顔一つしないで・・・」

唯 「ごめんなさいー・・・」ウアーン

和 「ちがっ・・・違うよ!私が素直になれなかったのが悪かったんだよ!唯が謝ることなんてなにもないの!だから・・・」

唯 「びわーーーん!」

和 「だから・・・泣き、やんで・・・・」グスッ

唯 「びえーーーん!」

和 「う・・・うえええええん・・・」


278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 22:58:18.84 ID:CHJUaWgU0
こんこん


憂 「お姉ちゃん、和ちゃん。お茶、煎れたんだけれど・・・」ガチャッ

唯 「えーーーん!えんえん!」

和 「うあああん、うああああん」

憂 「・・・・え!?」

唯 「あ、憂ー、ありがとう・・・そこ、置いておいて・・・うわーーーんっ」

和 「い、いただき・・・ます・・・うあーーーん」

憂 「な・・・何事・・・」


子供のような大泣き。声をあげて泣いたのなんて、いったい何年ぶりだろう。

でも、不思議と気持ちが良い。涙や嗚咽と共に、感情を押し殺していた要らない物まで洗い流されていくようで。


憂 「あ、あのっ、お茶請け・・・どうしようか・・・」オロオロ

唯 「アイス、アイス食べたいぃーーーーっ」

和 「そ、その組み合わせは・・・正直どうかと思う、わぁぁあぁん・・・」

憂 「どうしたら良いの、私・・・」ウルウル

憂 「う・・・ぐすっ」

唯・和・憂 「びわぁぁあああああぁん!」


279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:04:27.14 ID:CHJUaWgU0
数分後!!


和 「泣くだけ泣いたら、すっきりしちゃった」

唯 「そうだね。でも、憂にはビックリさせて、悪いことしちゃったなぁ」

和 「あの子まで泣かせちゃったもんね。後で謝っておかないと」

唯 「うん・・・」

和 「・・・・」

唯 「あの、ね。和ちゃん。愛してるって。言ってくれて、ありがとう」

和 「べ、別にっ。・・・礼を言われるようなことじゃないわ」

唯 「ううん。やっぱり、ありがとうだよ。だって、嬉しいんだ。とっても・・・」

唯 「友達としてだけじゃなく。私のこと、そこまで大切に思ってくれているなんて・・・すっごくね、嬉しいの」

和 「唯・・・」

唯 「だけどね、返事はちょっと待って欲しいんだ。いきなりだったから、まだ頭が混乱してるし・・・」

和 「えっ?」

唯 「えって・・・え??」

和 「あ、だって・・・てっきり私、即座に拒否されるかと思ってたから・・・」

唯 「そんなことしないよ!大好きな和ちゃんにそんな事できない。できない、けど・・・」


280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:13:05.15 ID:CHJUaWgU0
唯 「私、本当に和ちゃんが好き。大好き。」

和 「唯・・・」

唯 「だけど、この”好き”が、どの”好き”なのか・・・ラブなのかライクなのか・・・私、分からない」

唯 「だって、和ちゃんは小さい頃からずっと私の側にいてくれてて」

唯 「私はそんな和ちゃんが”好き”だってことが、あまりに当然の事になりすぎてたんだもん」

和 「うん・・・・」

唯 「えへへ、あまり上手く説明できないや・・・」

和 「ううん、分かる。すごく分かるよ。だって私も、今の唯と一緒だったんだもの」

和 「今日の今日まで、私の”好き”がラブだって、ずっと気がつかなかった・・・」

唯 「うん・・・それにね、りっちゃんが好きだって気持ちも、ほんとのほんとなんだ。ふられちゃった今も、やっぱり好き」

唯 「告白して、ふられて、告白されて、キスまでされちゃって・・・」

和 「あ・・・///」


281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:16:05.53 ID:CHJUaWgU0
唯 「これだけの事がいっぺんに起こって、正直私の頭はオーバーヒート寸前だよ!」

和 「う~~~。なんか・・・ごめん」

唯 「へへ・・・ううん。だけど。だから、ね。落ち着くまで、返事は待って欲しいの」

唯 「和ちゃんに、混乱した頭で出した答えでなんて、返事したくないもん」

和 「唯。ありがとう。本当にありがとう。私・・・唯の答え、ずっと待ってるから」


私自身が戸惑い、どう扱って良いものか思いあぐねている、唯への気持ち。

なかば押し付けるような告白を唯は。自分も辛いときだと言うのに、唯は・・・

嫌な顔一つせず、正面から受け止めてくれた。唯の心の温かさに触れることができた。

私、唯を好きになって・・・好きだって気がついて本当に良かった。

だけど・・・


282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:25:23.40 ID:CHJUaWgU0
それから間もなくして・・・


私は無事、生徒会に入ることができた。

のみならず書記という役職にまで選出され、私の高校生活二年目は上々のスタートを切ることができた。

でも、それからが大変。

初めての仕事、慣れない役目に追われる日々。もう忙しすぎて、文字通り目が回っちゃう毎日。

全校集会がある時なんかは、たまに司会みたいなこともやらされて。

もちろん主役は生徒会長である曽我部先輩なのだけれど。

それでもやっぱり全校生徒の注目を集める壇上に登っての司会は、なかなかに緊張を強いられる役目なわけで・・・

・・・でも。

軽音部にいたから。そこで歌い、笑い、泣き。友情を育んで。そして一緒に培った舞台度胸があったから。

私は大勢の前で過度に緊張することも言葉を噛むこともなく、大過なく役目をこなし続けることができている。

みんなと過ごした一年。あの宝石のように輝く想い出の日々は、確かに私の血となり肉となり。

今の、そしてこれからの真鍋和を形づくる、大きな糧となってくれている。


283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:29:25.96 ID:CHJUaWgU0
だけど・・・


そんな大好きなみんなと、ここ最近わたしはろくに話をしていない。

かろうじて唯一同じクラスになった澪と、申し訳程度に挨拶を交わすくらいだ。

理由は明快。私が雑多で忙しいから。これに尽きる。

・・・・というのは表向きの話。

唯の告白を発端として起こった一連の出来事で、気まずかったり気恥ずかしかったりして・・・

それに軽音部を抜けた後ろめたさも手伝って、まともに顔を合わせる気になれないのが本当のところだった。

梅雨もとっくにあけ、もうすぐ楽しい夏休みが控えているというのに。

私の心の中には、未だに暗雲が低くたれこめたまま。


和 「はぁ・・ぁ・・・」


口から漏れ出るは、ため息ばかり。


284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/08(金) 23:40:52.25 ID:CHJUaWgU0
和 「そういえば・・・」


生徒会室の窓辺に立ち何気に空を見上げてみれば、ふわふわ揺らぐ白い雲と、ぽっかりノンキに浮かんでいる眩しいお日様。

去年の今頃もこんな風に空を眺めながら、指折り夏休みの訪れを待っていたっけ。

皆で行く合宿を。唯の笑顔を取り戻すため。夏の海に。


和 「海・・・行こうかな」


なんだか無性に、打ち寄せる波と戯れたくなった。

砂浜で寝転がって、意味もなく身体を焼いて。水平線に沈む夕日を愛でて。それから・・・


『トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪』


ん・・・?


和 「メール・・・?唯、から・・」


『和ちゃん、放課後お暇?何もなければ、一緒に帰ろうよ!』


和 「・・・唯」


291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 20:35:57.56 ID:IwQcaSK/0
帰り道!!


唯 「なんだか久しぶりだね、和ちゃんと一緒に帰るの!」

和 「そうだね。なんかごめんね、唯」

唯 「んーん、和ちゃん忙しいの知ってるし。今日もね、ダメ元でメールしてみたんだ」

和 「うん、たまたまね。今日は何も予定が入ってなかったから」

唯 「誘って正解!だね」

和 「で?私に何か、話でもあったんじゃないの?」

唯 「さすがだよ、和ちゃん!やっぱりお見通しだったか」

和 「うん、そろそろかなって思ってたから」

唯 「内容まで読まれてましたか」

和 「でも、唯の出す答えまでは読みきれない。だから、ね。ハッキリ唯の気持ちを聞かせて欲しい」

唯 「うん・・・」

唯 「と、重い話をする前に!和ちゃんにお見せしたいものがあります!」バッ!!

和 「え、な、なに?藪から棒ね・・・それ、携帯でしょ?一体・・・」

唯 「ちっち。見てもらいたいのは、この中に入っている”とある物”なのです!てことで、さい・せい!!」ピピッ

和 「・・・動画?」


律 『和ー!』


和 「!」


293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 20:40:50.84 ID:IwQcaSK/0
律 『唯、もう始まってるのか?ちゃんと写ってる?』

唯 『平気だよ、りっちゃん!さ、澪ちゃんもムギちゃんもこっち来て!』

澪 『お、おお・・・』

紬 『なんだか緊張しちゃうわー』

律 『和。今これ、見てるんだよな?じゃ、さ。久しぶりだな。なんだよ随分ご無沙汰してくれちゃってさ!』

澪 『教室でもあまり、話せてないしな』

紬 『寂しいわー・・・』

律 『あと・・・おい、梓。なに隅っこに隠れてるんだよ。こっち来いって。一緒に写ろうぜ!』

梓 『あ!わ、私は遠慮して・・・ああ、もう・・・』

唯 『あずにゃん、あずにゃん。はい、にっこり笑って自己紹介!』

梓 『あうう・・・は、始めまして真鍋先輩。新しく軽音部に入部させていただいた中野梓っていいます』

唯 『通称あずにゃん!』

梓 『もう!その呼び方、やめて下さいって!こ・・こほん。えーと、真鍋先輩・・・』

梓 『新歓ライブ、とても感激しました。先輩の歌声、すっごくすっごく心に響きました。感動です!』

梓 『よろしかったらぜひ、部室に遊びに来てください。いろいろお話、伺ってみたいです』

律 『・・・てわけでさ、和が忙しいのは知ってるけど、たまには暇見つけて軽音部にも顔を出せよ』

律 『梓もこう言ってるし、澪もムギも。もちろん唯も、さ。寂しがってるから。な?』


294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 20:49:54.10 ID:IwQcaSK/0
紬 『あらあら、りっちゃん自分のことは?』

澪 『和がいなくて張り合いなくなっちゃってさ。一番しょんぼりしてるの律のくせになー』

律 『ば、ばかぁ!んなことないやい!』

唯 『りっちゃん、照れてるー♪』

律 『ゆ、ゆ、唯!お前は黙って携帯かまえてろ!』ガー!

紬 『きゃー、暴力よ暴力♪』

唯 『こわーい♪』

梓 『なんですか、そのキャラは・・・』

律 『ぐぎぎ・・・こ、こんないじられ方されるのも、和!おまえがぜんぜん、軽音部に顔を出さないせいなんだからなっ!』

澪 『こらこら、人のせいにしちゃダメだろ』

律 『とにかくぅ!近々いっかい遊びに来い!つーか、和の壮行会。中途半端なままだったろ?』

律 『あれ、梓も入れてもっかい仕切りなおすから!だから部室に来るように!これは部長命令ですっ!』

唯 『えー、部長命令って。和ちゃん、もう軽音部じゃないんだよー・・・?』

律 『そんなの関係あるかよ。私はずーっとお前達の部長のつもりだし・・・』

律 『そして和、お前も。どこにいても変わらない。私たち軽音部の大切な仲間なんだからな』

唯 『りっちゃん・・・て、あ!残り時間がm(ぷつっ)


295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 20:57:18.55 ID:IwQcaSK/0
唯 「・・・おしまい」

和 「り、律・・・」

唯 「あずにゃん・・・梓ちゃんも加わって、軽音部はますます賑やかで楽しい場所になったよ。いつも笑いの絶えない・・・」

唯 「これも和ちゃんが新歓ライブでがんばってくれた成果だよね!」

和 「私の歌が、心に・・・」

唯 「うん。あずにゃん、とても和ちゃんと会いたがっていたよ。だから、ね?」

唯 「あと、りっちゃんからの伝言。あの時は、きついことを言ってごめんって」

和 「・・・・」

唯 「ね、和ちゃん。たまに、たまぁにで良いから軽音部に遊びに来てね?」

唯 「澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも、もちろん私も。あと、りっちゃんが・・・首、長くして待ってるからね」

和 「うん。行くよ。ありがとう、唯。みんな・・・」


みんなの優しさ、暖かさが心に染みる。

私、何を意固地になっていたんだろうか・・・


唯 「それではお待たせしました。次は、私の話・・・」


き・・・来た。

にわかに緊張感が走り、知らずに飲み込んだ生唾で喉がごきゅりと鳴った。


296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:05:19.81 ID:IwQcaSK/0
唯 「あれは春先だったから、もうずいぶん経っちゃったよね。たくさん待たせてゴメンね、和ちゃん」

和 「う、ううん」

唯 「でも、私もね。和ちゃんとあまり会えない間、ずっと考えてたんだよ。ずっとたくさん、真剣に・・・」

和 「うん・・・」

唯 「でね。私、決めた!和ちゃんっ!!」

和 「う、うんっ!」ドキッ

唯 「和ちゃん、私と・・・!!」

和 「っ唯!!」

唯 「海に行こう?」

和 「うん、行こう!!」

唯 「やったー♪じゃ、夏休みに行こうね♪」

和 「分かった・・・わ・・・」


和 「え!?」

どてちんっ!

唯 「わ!!の、和ちゃん。なんでずっこけてるの・・・!?」


297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:12:23.90 ID:IwQcaSK/0
和 「ゆ、唯・・・なんでこの流れで海なのかしら・・・」

唯 「和ちゃん、海。・・・嫌い?」

和 「いや、好きとか嫌いとかじゃなくってね」

唯 「一年前・・・さ」

和 「え・・・?」

唯 「一年前。みんなと海に合宿に行った時のこと、覚えてる?」

和 「え・・・忘れられるわけないわ。私が要らないこだわりを捨て、そして唯が。昔の唯が戻ってきてくれた合宿の事だもの」

唯 「うん。そして、私と和ちゃんの新しい関係の始まりにもなった、ね?」

和 「そう、あの夏が起点だったわね。私、唯と本当の意味で親友に戻ることができた」

和 「・・・嬉しかった」

唯 「私も。だからね。海は私たちにとって大切な場所。そして、新しいスタートをきるのに、もっともピッタリな場所だと思うんだ」

和 「新しいって・・・あ。ゆ、唯・・・」

唯 「えへ・・・・」


298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:22:33.22 ID:IwQcaSK/0
唯 「和ちゃん。私、白状するね」

和 「な、なに・・・?」

唯 「私、今でもやっぱり、りっちゃんのことが好きなんだと思う。かっこいーし、一緒にいるとドキドキするし」

和 「唯・・・」

唯 「ふられたことを思い返すと、やっぱり悲しくなるし。でもね・・・?」


ぎゅ


和 「あ・・・唯?」

唯 「こうして、和ちゃんの隣にいる今。和ちゃんの手を握っている今・・・この今も、やっぱりドキドキしてるの」

唯 「気が多いって笑わないでね?今のドキドキは、和ちゃんが私を好きだって言ってくれたからこそ、気づけた気持ちなんだから」

和 「唯・・・そんな、ストレートに言われたら・・・こっちまでドキドキしてきちゃうじゃない」

唯 「へへ、ごめんね?でも、だから、こそ。今の気持ち、自分できちんと見極めたい」

唯 「和ちゃんと。想い出の場所で。一緒に・・・だから。だから、ね?」

和 「・・・ふふ」

唯 「えー!?なんでこのタイミングで笑うの?私、なんかおかしな事を言っちゃった?」

和 「じゃなくってね。私も、海。行きたいなって思ってたから・・・おかしいね。離れていても、考えてることは一緒なんだもの」

唯 「へへへ・・・だって私たち、ずっと。子供の頃から一緒だったんだもん。この、繋いだ手みたいに。そして、これからも」

和 「そうだね。だから、そのためにも・・・行こう、唯」

唯 「うん!あの、夏の海へ」


299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:28:46.39 ID:IwQcaSK/0
想い出の海へ。皆と賑やかにひと夏の想い出を紡いだ、あのリスタートの場所へ。

今度はそこへ、唯と。愛する人と二人で行こう。

二人手をつなぎ、どこまでも続く波打ち際を歩いて、いろいろな話をしよう。

寄せては返す波に足を洗われながら、今までのこと。これからのこと。唯の気持ち。私の想いのこと。

きっと入道雲の隙間からさす陽の光が、隠れていた感情まで照らしてくれて。

今まで以上に素直な気持ちで、お互い向き合うことができるだろう。それはとても素敵なこと。

そこで唯が出す結論がどんな形になるか、それは今の私には知る由もないけれど。

でも、予想はできる。

きっと導き出された答えは、どんな形であれ、私たちの新しい関係への出発点となってくれるに違いない。

一年前のあの時と同じように。

ううん。あの時よりも、もっと・・・


300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:35:51.83 ID:IwQcaSK/0
また今年も。これから指折り夏休みまでの日数を数える日々が始まる。

それは同時に、新たなスタートを切るまでのカウントダウン。

そう・・・


和 「・・・唯」


繋がれたままの唯の手を、さらに強く握る。


和 「唯、大好きだよ」

唯 「うん、私も。大好き、和ちゃん」


唯もそれに応えて、強く握り返してくれる。

そんな唯の手の暖かさと確かな感触を肌で感じ、胸にも刻み込み。

そして心で実感する。

私の軽音部でのライブは終わったけれど、私と唯の・・・

二人の新しいステージの幕は、まさに今。これから開かれようとしているところなんだと。



おわり!


301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/09(土) 21:43:08.63 ID:IwQcaSK/0
以上です。
で、言い訳をちょっとww

唯律を期待していた人が多かったようで、なんか申し訳なかったです。
最初「唯律フラグ回収編」と言ったのは、あくまで唯の律に対する恋愛感情の結末を書くって程度の意味だったのですが、紛らわしかったようで。
本編の後に続きを書こうと思った段階で、この結末は自分の中では決まっていました。
やはり主人公には、希望を持てるラストで締めくくりたいと思いまして。
全て自分の構成力の無さが問題ですね。重ね重ね申し訳ない。

とにもかくにも読んでくださった方、ありがとうございました。
もっと話作りが上手くなるよう頑張りますので、機会があればまたよろしくお願いします。


302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/09(土) 21:47:27.29 ID:wi9P3Y5C0
まあなにはともあれお疲れ様!
文章がきれいでよかったよ
ただ、なんで唯が律を好きな設定にしたのかな?
そこだけがちょっとひっかかるな
素直に唯和だけでも良かった気がする


303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/04/09(土) 23:09:04.95 ID:HCX0Wo9yo
本当にお疲れ様。
とても面白かったよ

ただ唯律を成立させる必要こそないにしても
その理由として、これまで特に描写があった分けでもないのに律澪がでてきたのは
唐突過ぎて正直納得いかないものがあるな
自分勝手な意見スマン


306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/04/10(日) 17:35:06.31 ID:clgCSKEpo
唯ちゃんの純粋さと和ちゃんの思いやりが滲み出てた!
可哀想なんだけど、まだ心閉じてた頃の唯ちゃんもまた可愛らしかった……
唯和オチは意外だったけど、幼馴染2人の隠れていた恋心が通じ合った描写からなるほどと思った。
個人的にもとても好きな綺麗なアナザーストーリーです。
>>1さん最後までお疲れ様です、ありがとう!


307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/10(日) 20:41:08.98 ID:q6zLPU7D0
お疲れ様

勝手なこと言わせてもらえば色んな描写が少し足りないのかもなーなんて思った
割と急に唯律フラグを入れたから、唯律にしたいのかと思いきや
早々にフラグが破壊されて肩すかしを食らった感は否めない

でも唯和は良かったと思うよ乙
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